社団法人 北九州中小企業経営者協会(中経協)

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会長対談「この人と語る」

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各界で活躍されるゲストの方々をお招きし、最新のビジネス動向や北九州の現状、これからについて等、様々な話題を語っていただくインタビュー連載シリーズです。
 

衆議院議員 麻生 太郎氏

中経協インタビュー第一回目は、財界で活躍された後、政界に進出され、自由民主党政務調査会長、総務大臣、外務大臣、自由民主党幹事長を歴任される、衆議院議員麻生太郎氏をお招きし、麻生氏の人生観について語っていただきました。
 
●麻生太郎氏プロフィール
昭和15年9月生まれ。67歳。
学習院大学政経学部卒業。
昭和41年麻生産業入社。
昭和48年5月麻生セメント代表取締役社長
(〜54年12月)。
昭和53年1月(社)日本青年会議所会頭
(〜53年12月)。
昭和54年10月   衆議院議員に当選、以降当選9回。
自由民主党政務調査会長、総務大臣、外務大臣、自由民主党幹事長を歴任。


情報過多の時代ですが、
地にしっかりと足をつけていれば、
必要な情報の判断は自ずとできるものです。
若い世代に求めるものは、
何を残し、 何を変えるべきかを見抜く目ですね。


河邊:
本日は『麻生太郎の人生観』というタイトルで、取材をさせていただきます。
まず、最近のニュースで、関心をお持ちのトピックを教えてください。

麻生氏:
チベットの問題ですね。

河邊:
なぜご関心を持たれましたか?

麻生氏:
これまでチベットに関するニュースは、日本のマスコミに載ることが極めて少なかったですよね。
しかし今回、海外メディアは連日取り上げている。最近の話の中では一番印象的で、オリンピックも含めてこの問題は波及が大きいと思います。

河邊:
世界各国の、中国に対する見方についての波及効果が大きいということですね。

麻生氏:
そうです。しかし、なぜこの話を日本のマスコミは取材しないと思いますか。報道管制がされているから取材には行けないというのは理由にならないでしょう。
日本のマスコミは開かれた国の取材や批判はしても、取材をさせない国に対する批判が小さい。もっと強くなければおかしいのではないでしょうか。優先順位のつけ方が逆です。

河邊:
次に、これまでの人生の中で最も影響を受けた方はどなたでしょうか。

麻生氏:
私に射撃を教えてくれた藤堂高弘という方です。この方の指導によって、国体優勝、日本選手権優勝、オリンピックにも出場できました。様々な意味で私の基礎をつくってくださいました。

河邊:
藤堂氏との出会いによって、得たものは何でしょうか。

麻生氏:
そうですね。日本一になれましたので、自信を与えていただきました。
スポーツの世界は幸運で一度は優勝することはあるのですが、日本選手権は三度優勝しましたから。
地位を維持するために必要なこと、自己規制やきちんとした対応など、ずいぶん教えてもらったことが多いと思います。

河邊:
健康管理から精神の持ち方までということですか。

麻生氏:
はい。試合の駆け引きまで全てですね。教えていただいたことは、いまでも覚えていますね。ですから大きな出会いだったと思います。

河邊:
それでは、いつも心の中心軸に置いておられる言葉、信条をお聞かせください。

麻生氏:
(手元のメモに書きながら)『自助而中庸。天下為公。』ですね。

河邊:
言葉の意味をお教えください。

麻生氏:
『自助而中庸』は英語で言えばSELF HELPかな。
自分のことは自分でする。しかし、やり過ぎないように中庸を得る。ほどほどにするということです。
『天下為公』は何か行動するときに、これは公のためになっているか。公のためにすることかを考え行動するということです。

河邊:
これらの言葉についてもう少しお聞かせいただけませんか。

麻生氏:
自助而中庸ですが、例えば会社の経営においては、経営の責任は他者に頼らず、すべて自ら負う。
しかし、周囲に配慮がないと行き過ぎになる可能性が出てくるので中庸を得なければならないということでしょうか。

河邊:
ありがとうございます。では、最も大切になさっているものをお聞かせください。

麻生氏:
家族です。

河邊:
ご家族の方とはお忙しいご公務のなか、どのように接するお時間をつくっておられますか。

麻生氏:
極めて限られていますね。息子は海外にいますし。

河邊:
お仕事ですか。

麻生氏:
いや、まだ学生です。家族は息子と娘、妻の4人です。

河邊:
奥様とのコミュニケーションで、大切になさっていることや気を使っておられるとことはございますか。

麻生氏:
そうですね。朝食はできるだけ一緒にとりますね。また留守にするときなど、例えば私が九州で妻が自宅にいたり、その逆だったりするとき、一日一回は電話をしますね。

河邊:
ご家族と接するなかで気をつけておられることをお話ください。

麻生氏:
息子や娘が関心を持っている話についていけるようにしていますね。
音楽や漫画、ファッションなど若い世代が関心をもっている話題についていけるよう努力しています。
ところで、日頃感じることですが、最近のご家庭はお母さんが二人いるのではないでしょうか。

河邊:
お母さんが二人ですか?

麻生氏:
父親が父親の役をしていない、つまり父親が母親の役をしているのだと思います。
本来、父親がするべきことをしていないか、逆に母親がするべきことを父親に押し付けているのかもしれません。 昔は五〜六人の子供を育てていたのが、今は一人の子供を育てるにも自信がない。子供への介入過多があるのではないでしょうか。

河邊:
そうですね。若い世代の親御さんは、子どもの育て方から分からなくて悩むと聞きます。

麻生氏:
昔は複合家族でしたから、子供の育て方を普段の生活の中で習うことができていました。
例えば子どもが泣き出したら、それはお腹がへっているのか、オムツを替えなくちゃいけないのかということを泣き声で判断が出来ていましたね。
最近のお母さん方が育て方を知らないのではなく、習っていないからできないだけなのではないでしょうか。人は真剣に愛されていると、それが相手に伝わるし愛し方も分かるのだと思います。子供に対してもそうでしょう。
ですから、子供に過干渉になるのではなく、愛情を込めた目で見守ることが大切だと思います。子供に対する自信のなさが、過干渉になる理由ではないでしょうか。
会社経営も同じで地に足が付いていなければならないと思います。世の中は情報過多の時代ですが、地にしっかりと足をつけていれば、必要な情報とそうではないものとの判断は自ずとできるものでしょう。自分に自信がないと情報に流されてしまう。自分の会社を経営する基本がしっかりできていれば、時代の大きな流れを掴むことができるし、情報を分析し咀嚼することによってそれが知恵になるのではないでしょうか。中小企業で生き抜いている経営者のみなさんは、それを実行なさっておられる。

河邊:
ご著書『とてつもない日本』においても、今の日本人は自信を喪失していると語っておられましたが、日本が自信を取り戻すために、私達は何をしなければならないのでしょうか。

麻生氏:
もっと自分自身のことを知ることだと思います。例えば、中国とロシアとインドを合わせた経済力より日本の方が大きいということをご存知ですか。

河邊:
いいえ、知りませんでした。

麻生氏:
九州で比較するとGDPではスイスより大きく、人口比ではベルギー、オランダより多いのです。そのなかの工業力の主体は、間違いなく北九州地域です。そこに24時間、365日飛べる空港があり、響灘に行けば水深15mで、24時間着岸できる港があるわけです。北九州地域はそれだけ恵まれたインフラを持ち合わせているのです。経営者は本拠地となる都市のことをよく知ることが大切です。これは日本人全体にも同じことが言えると思いますが。
日本は1930年代以降70年間の間に世界で唯一デフレ下の不況を経験しました。その中でGDP500兆円維持したわけです。それがどういう意味を持つのかを考えてみてください。
世の中の流れを見ることは大変重要でインフレからデフレになったら、経営の方法まで違ってくるでしょう。自分の国や地域を知ることの大切さとはそういうことだと思います。

河邊:
最後に次世代の日本人へ向けてのメッセージをいただけないでしょうか。

麻生氏:
日本が国家社会として維持し続けてきたもののなかで、守るべきものは勇気を持って守る。しかし、時代に合わなくなって変えざるをえないものも出てくる。それを変える度胸と決断。そして、何を守るべきか、何を変えるべきか、というものを、見誤らないようにする見識を養う。時代の変わり目とは、そういうものではないでしょうか。
明治維新のときを考えてください。西洋からありとあらゆるものが入ってきましたが、天皇制を維持し、家族を大事にし、教育を大事にして自分の言葉で文化を守り抜いてきたわけです。
あの大変革の時代でさえも守り抜いたもの。若い人たちに求めるものは、『何を残し何を変えるべきかを見抜く目』ですね。

河邊:
ありがとうございました。本日は貴重なお時間をいただき、感謝申し上げます。
(平成20年3月21日取材)

写真左から 後藤副委員長、麻生太郎氏、河邊委員長
 
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